(つゞき 「
虫の垂れ衣」)
「苧麻(からむし)」の「むし」に現在何故「虫」の字を当てるのか気になっている。
音が通じているだけで根拠はないと思うが、何かあるのなら教えていただきたい。
なお、「苧麻」の「むし」は朝鮮語のmosi(苧)であるらしい。
さて、「羅生門」は芥川の小説「藪の中」を映画化したものであるが、それには「牟子の垂絹」と表記されている。
ついでに、「牟子の垂絹」が出てくるのは「多襄丸の白状」で、女を奪った理由を述べているので抜粋しておく。
その時風の吹いた拍子に、牟子の垂絹が上ったものですから、ちらりと女の顔が見
えたのです。ちらりと、― 見えたと思ふ瞬間には、もう見えなくなったのですが、一つ
には、その為もあったのでせう、わたしはあの女の顔が女菩薩にやうに見えたので
す。
(「芥川龍之介全集2」 筑摩書房)
「虫の垂れ衣」を書いた後、二十数年振りに「藪の中」を読み、「今昔物語」中の素材とした話を初めて読んでみると面白かった。
補足 「今昔物語集五」巻29(「新日本古典文学大系37)
第22「詣鳥部寺女、値盗人語(とりべでらにまうでたるをんな、ぬすびとにあふこと)」
第23「具妻行丹波国男、於大江山被縛語(めをぐしてたんばのくににゆくおとこ、
おほえやまにしてしばらるること)」
(了)

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