過日、東京国立博物館 法隆寺宝物館に行った。
聖徳太子御忌日記念
特別公開「国宝・天寿国繍帳と聖徳太子像」
現存「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」は、飛鳥時代の旧繍帳と鎌倉時代にこれを模造した新繍帳を、江戸時代に貼り混ぜたもの。
太子が往生した浄土での有様を刺繍で制作したものとされ、江戸時代に傷みのひどい両者の残片を寄せ集めている。
亀が100匹(現存4匹)並んだといわれる元々の図様を想像すると … 見てみたい。
それはともかく、図様の復元という意識がないのか、関係のない部分を無理やり貼り混ぜたり、欠損した顔は白い顔料で漫画のように補うなど、江戸時代の補修はあまりにも粗雑。
ところで、驚くべきことに鮮やかな色彩の方が旧繍帳だそうで、それには新繍帳が粗悪というのもあろうが、何よりも新繍帳が丹念に制作されているのが理由のようだ。
図録に詳しいのでお読みいただくことにして、私はここに、
いつまでも色褪せない本物の真実をみる。
「本物」というが新繍帳とて偽物ではなく、「色褪せない」は染織だけに言葉通りになってしまったが比喩的意味をも含む。
制作当時は一見同じに見えたであろうものが、一方は時を経てなお素晴しく、一方は朽ちている。
これに限らず、物心いづれにおいても、
似て非なるものの存在を正しく見極める眼を養いたいものである。
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