金沢の知人曰く、「松林図」は能登国七尾出身の等伯でなくては描けない風景とのこと。
海浜の黒松は自然のものではなく、防風林として海岸に植えられる。
TVで見たのだが、海岸の
松の枯死が問題となっていて、原因は松葉の堆積だという。
勿論、松葉が落ちるのは今に始まることでないのだが、かつては焚付
タキツケにするために拾われていた松葉が、拾われなくなったことによる。
堆積した松葉は腐葉土となり、松は養分を容易に吸収、速い生育の結果、自然災害や病害虫(まつくい虫など)に対し抵抗力が弱まる。
本来、海浜の松は、苛酷な環境下、養分のない砂地に栄養を求めて細い根を張り、しっかりとしがみついている。
一見、撓み、か細く見える幹は、時間をかけて生育するため緻密で堅く、また目に見えない根に強固に支えられ、実は逞しい。
雪が積もっても折れず、激しい日本海の風にもじっと耐えている松。
「松林図」は、そんな風景なのだ。
昨日、竹林が人間の生活と
共存していたことを書いたが、全く同然なのである。
海岸の黒松、里山の竹や雑木、いづれも原生林ではなく、人間の手によって植えられたものでありながら、近年は人間が共生を
放棄したためにバランスが崩れてしまっている。
近い将来、いや現に今も、自然災害や温暖化など、様々な
しっぺ返しを受けていることを、深刻な問題として受け止めなければならない。
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