1週間ほど前、出光美術館に行った。
三十六歌仙の饗宴
「
佐竹本三十六歌仙絵」が大正8年に切断、分割所蔵される次第は、「事件」とまでいわれる有名な話である。
以前、それぞれの行方を追跡調査したNHKの番組があった。
当時の政財界の数奇者たちが手に入れた各幅は、その後、所蔵者の浮き沈みもあり、転売を重ねていく。
所蔵することがステイタスと考えられ、時代時代の成功者が手に入れたがる、魔物のような美術品である。
その美術的価値は勿論なのだが、限られた36人となり、当時の数奇者と肩を並べる事にも価値があるのかも知れない。
当日の展観は七幅、もう少し出ると期待していたので、その点ばかりはがっかりだが、本紙のみならず、所蔵者の思い入れたっぷりの表具など、見所は多い。
「斎宮女御」は、事件の中心人物、
鈍翁が所蔵するに至る経緯
イキサツも付随して、興味深い一幅であるが、31日からの展観とあって見られず、残念であった。
さて、「佐竹本」以外では、数幅の柿本人麿像をポーズ、硯箱の位置、手にする料紙などで比較させる企画は、観点が面白い。
また、江戸時代になり、歌聖や歌仙たちが人間味を帯びた描写になるのが楽しい。
「三十六歌仙、全員集合!」といった感じの伝光琳の画稿、それを田中抱二が本画にしたもの、また其一が同じ配置でリメイクした絵(上のリーフレット)も目を引く。
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