(つゞき 「
その2 芻狗」)
裏千家初釜でいただいた寿扇「
芻狗吠天明」の意味を調べるうちに得た外の知識を書き留めておく。
狗吠イヌボエ
上代、狗人が、朝廷守衙
シュガの任にあたり、犬の吠声
ハイセイをあげること。
狗人イヌビト
南九州地方に住み、熊襲と並んで大和政権下に服属をがんじえなかった人のことを
隼人と称し、「夷人雑人」としての扱いを受けた。
記紀神話の海幸が弟山幸に敗れる話は、隼人が狗人となる起源説話である。
(参考文献 「國史大辞典」「日本史大辞典」「大言海」ほか)
現在、例えば薩摩隼人のように、男らしい勇敢な薩摩武士、男という意味で用いられる隼人という言葉も、歴史的には複雑だ。
また、子供の頃、お伽噺として誰もが読む「海幸彦山幸彦」に、こんな謂れがあったとは、知らないことが沢山あるものだ。
さて、狗人は「元日・即位・大嘗會には、白赤木綿、耳形の鬘を着けて、儀に列す」、狗吠は「左は本声を発し、右は未声を発せよ、惣て大声十遍、小声一遍、訖
オワりて一人、更に細声を発すること二遍」とある。
姿は、吠声は、どんななんだろう。
劇中で(能・狂言、その外か記憶が不確か)、登場する動物が布で耳を拵えているのを見た覚えがあるのだが、あんな感じか、想像すると可愛い。
遠吠えを真似るらしいが、法螺貝の如きか、聞いてみたい、「うぉーん!」って感じかしら。
識者に教えを請う。
画像の干菓子の犬(末富製)は、仙厓さんの犬のように「きゃんきゃん」鳴きそう、いや「くんくん」かな。
仙厓筆「狗子画賛」は、今であれば出光美術館HPで見ることができる。(了)
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