(つゞく 「
湯たんぽ1」)

何年前だろうか、向田邦子脚本のTVドラマで印象に残るシーンがあった。
時代は戦後すぐの頃、確か3人姉妹であったと思うのだが、朝、それぞれの湯たんぽの湯を洗面器に入れていた。
確かに水で顔を洗うのがつらい季節、湯たんぽの湯は程よいであろう。
きっと当然のことだったのだろうが、初めて見た
知恵に感心した。
私は、子供の頃、湯たんぽを使った経験がないし、物心ついたときから蛇口から湯が出たので、そのようなことをしたことがない。
当時の人が、蛇口から湯が出るのを見たら、その
便利に感心するであろう。
しかし、その一昔前の井戸から水を汲んでいた時代の人が、蛇口をひねると水が出るのを見たら、それ以上に
驚くと思う。
人は現代生活の簡便を意識せずに暮らしているが、不便も悪くない。
湯たんぽを準備する
手間を楽しもうと思ったのも、購入理由である。
その湯で顔を洗うのは、敏感肌には危険そうなのでしないが、それもできたらよいのに。
(つゞく 「
湯たんぽ3」)

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