
能『花筐
はながたみ』も、能『不逢森
あわでのもり』と同じく考武帝と李夫人の故事を引く(
参照 「
反魂香3」)。
なお、金剛流謡本『花筐』によると、作は世阿弥、ただしクセは観阿弥作の曲舞「「李夫人」を採ったとある。
ところで、10代のころ上村松園が大好きだったので、文楽『生写朝顔話』を観るより先に「娘深雪」(
参照 「
朝顔2」)を、能『花筐』より先に「花がたみ」(
参照 「
上村松園展4 能」)に出会っていた。
もしかしたら、これらの画を見ていたので、これらの能や文楽がすんなりと入ってきたのかも知れない。

越前国味真野
あじまのにいられた男大迹
おおあとめ皇子
に、皇位継承の御沙汰があり、皇子は急遽都に上ら
れた。そして故郷で御側近く召使っていた照日の前に
御使を遣わされ、御文と朝毎に手馴れた花筐
(花摘みに
用いる籠)を届けられた。照日の前は使者からそれらを
受取り、御文を読んで水茎の跡を懐しみ、皇恩に感
泣して御文、花筐を抱き里へ帰って行く。皇子は皇位
に即いて継体天皇となられ、大和国玉穂の都に御宮
造りあって、ある秋の日、供奉を整えて紅葉の行幸を
される。照日の前は君をお慕いして心乱れ、侍女に御
文と花筐を持たせて都へ上る途中、その行幸に行き
上村松園筆「花がたみ」 逢う。行列の前へ進み出た二人は、供奉の官人に無
日本の名画9『上村松園』中央公論社 礼を咎められ、侍女の持つ花筐を打ち落とされる。照
日の前はそれが君の御花筐であることを告げて、か
えって官人を咎める。そして、漢王、李夫人の反魂香
の故事を語って恋慕の情を訴える。帝は花筐を叡覧
あって、その狂女が召使っていた照日の前であること
を知り、やがて伴って還行される。
(金剛流謡本『花筐』檜書房)
(つゞく 「
反魂香5 浄瑠璃『傾城反魂香』」)
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