白居易の詩「李夫人」には、「鑒嬖惑也」という傍題がつく(
参照 「
反魂香1」)。
「嬖惑
へいわくに鑒
かんがみるなり」、寵愛する女性に惑わされないようにとの教訓である。
また、「哲夫成城 哲婦傾城」(『詩経』大雅 瞻卬
せんこう篇)は、今なら男女差別を非難されそうであるが、男性は女性(ことに美人)に弱いという、むしろ男性への戒めなのだろう。
哲夫城を成し、哲婦城を傾く
賢明な男子は諸侯になるが、賢い女性は差し出口によって事を誤らせ、国を滅ぼす
もとになる。 (『大辞林』三省堂)
李延年(前140頃-前87頃)は歌舞音曲の才により武帝の寵を受け、「傾城傾国」の歌を作り謡った。
城や国を滅ぼすことは分かっていても、このような絶世の美女は二度と手に入らないだろうと、帝にすすめたのである。
この佳人、すなわち延年の妹こそ、後の李夫人である。
北方有佳人 北方に佳人有り。
絶世而獨立 絶世にして獨立す
一顧傾人城 一顧すれば人の城を傾け
再顧傾人國 再顧すれば人の國を傾く
寧不知傾城與傾國 寧
いずくんぞ傾城と傾國とを知らざらんや
佳人難再得 佳人は再び得難し
(漢詩選4『古詩源(上)』内田泉之助著、集英社)
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