(つゞき 「
班女1」)
班捷妤
はんしょうよ(前46?-前6?)作「怨歌行
えんかこう」は『楽府詩集』巻二(北宋代960-1127、郭茂倩)・『古詩源』(1719、沈徳潜編)・『文選
もんぜん』巻七(梁代502-557、昭明太子蕭統編)での題、『玉台新詠』(陳代557-589、除陵編)では「怨詩」とある。
なお、新釈漢文大系『玉台新詠』の著者である内田泉之助氏によると、捷妤の自作とするのは疑わしいとのこと。
怨詩一首 幷序 班捷妤
昔漢成帝班捷妤、失寵、 昔漢の成帝の班捷妤は寵を失ふて、
供養於長信宮。 長信宮
(皇太后の宮殿)に供養す。
乃作賦自傷、 乃ち賦を作り自ら傷み、
幷爲怨詩一首。 幷せて怨詩
えんし一首を爲
つくる。
新裂齊紈素 新に齋
せいの紈素
ぐわんそを裂けば
鮮潔如霜雪 鮮潔にして霜雪
さうせつの如し
(『古詩源』では「鮮潔」を「皎潔」)
裁爲合歡扇 裁ちて合歡
がふくわんの扇
せんと爲せば
團團似明月 團團として名月に似たり
出入君懷袖 君が懐袖
くわいしうに出入
しゆつにうし
動搖微風發 動搖
どうえんして微風發す
常恐秋節至 常に恐る秋節の至りて
涼風奪炎熱 涼風炎熱を奪ひ
棄捐篋笥中 篋笥
けふしの中
うちに棄捐
きえんせられ
恩情中道絶 恩情中道
ちゅうだうにして絶えんことを
(通釈)
新しく齊国産の白絹を裂くと、それは潔白で、さながら雪や霜のよう。
それをたちきって合わせ貼りの円扇
まるおうぎ(表と裏をはり合せて作った扇、夫婦和合の象徴)
を作ったら、まんまるで
欠けた所のないこと、夫婦円満の意を寓す)満月のようである。
この扇はいつもわが君の懐や袖に出入して、動かすたびに、そよ風を起こしていた。
けれど心にかかるのは、秋の季節がおとずれて、涼風が暑さを奪い去ると、
わが身は
秋の扇として、箱の中になげこまれ、君のおなさけも中途で絶えてしまうこ
とです。
(新釈漢文大系60『玉台新詠
(上)』内田泉之助著、明治書院)
参考文献 漢詩選4『古詩源
(上)』内田泉之助著、集英社
(つゞく 「
班女3 和漢朗詠集」)
(f Likeはフェイスブックに登録の方のみ反映) 両方のclick! ありがとう。 →