
一昨日、所用で北鎌倉の円覚寺を訪ねた。
美しい新緑、爽やかな風が心地よく、「薫風自南来
クンプウジナンライ」が浮かんだ。
そういえば、この句には表面だけでなく深い意味があったなぁと思いはしたが、正確なところが思い出せない。
帰宅してから学生時代のノートをめくってみると、今となっては理解不能で…調べ直してみた。
人皆苦炎熱 人は皆炎熱に苦しむも
我愛夏日長 我は夏日の長きを愛す (文宗皇帝:在位829-840)
薫風自南来 薫風南より来り
殿閣生微涼 殿閣微涼を生ず (柳公権:778-865)
一為居所移 一たび居の為に移されて
苦楽永相忘 苦楽永く相忘る
願言均此施 願わくば言わん、此の施しを均しくして
清陰分四方 清陰を四方に分たんことを
(蘇東坡=蘇軾:1037-1101、
参照 「
續西施」「
四君子」)
上の五言絶句は唐代の文宗皇帝とその臣下柳公権の合作で、下は宗代の蘇東坡のそれに対する詩である。
庶民は風も通らぬ陋屋
ロウオクに起居し炎天下で労務している、天下万民が清陰で薫風を味わえるよう配慮していただきたいと、皇帝の思いやりの欠如を、強いては当時の為政者をも風刺する。
しかし、禅語として有名なのは大慧宗杲
ダイエソウコウ(1089-1163)の大悟の句であるからで、これについては「
薫風自南来2」で書く。
参考文献 『
禅語の茶掛 一行物』芳賀幸四郎著、淡交社刊
参考サイト 『臨黄ネット』の禅語「
薫風自南来 殿閣生微涼」
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