(つゞき 「
木守1」)
「木守り柿」の風習は自然豊かな土地で育っている方には身近なのだろうが、横浜育ちの私はお茶を稽古をするまで「木守」と云う言葉を知らなかった。
ところで、古典文学に通じた方は、「木守」を「きまもり」でなく「こもり」と訓むかも知れない。
『枕草子』 83段では「こもり」と訓み、庭などの樹木の番人、庭番を意味する。
木守といふものの、築土のほどに廂さして居たるを、縁のもと近く呼びよせて
(新 日本古典文学大系25、岩波書店)
また、能『嵐山』の後ツレ「木守明神」も「こもり」と訓む。
一方、茶人は「こもり」よりも「きまもり」の訓みが浮かぶと思う。
それは、あまりに有名な長次郎作赤茶碗「木守
キマモリ」があるからで、私もこれで「木守」の意味を知った。
「木守」は、『利休茶湯会帳面 千ノ宗旦』と云う松屋の伝書に「木守茶碗聚楽焼なり」とあるそうで、『南方録』や『利休百会記』(資料として問題もあるが)にも多く登場する。
また、『江岑咄之覚』には「木守」が利休銘であると書かれていている。
一、宗易、京やき茶碗名を付候、名物はや船、きまもり、りんざい、けんきょう
(『江岑宗左茶書』主婦の友社)
茶の湯を学び始めた10代のころ、「木守」茶碗の銘の由来は、利休が長次郎茶碗を門人に選ばせた際に残った一碗と聞いた(30年以上経った今でも出典が分からない)。
「検校」「俊寛」など選ばれないものに焦点をあてる逸話は多いが、反対に利休が選んで手元に残した一碗とも聞く。
また、姿が柿に似るところからの銘とも云い、赤茶碗には長次郎作「つつみ柿」「西条柿」、のんこう作「熟柿」など柿の銘は何碗かある。
この方が素直な命銘で好感が持てる。
参考文献 『茶道古典全集 第4・6巻』淡交社、『利休大辞典』淡交社
(つゞく 「
木守3」)
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