茶壺に貯蔵した碾茶(仕立茶、葉茶)は、茶臼で挽かれて抹茶となる。
まず、上臼中央の孔に葉茶を入れ、上臼側部の穴に差し込んだ「挽木」を反時計回わりに回転させる。
芯穴に送られた葉茶は、上下臼の摩擦面にそれぞれ切られた溝で擦り合わされ、粉砕され外縁から出てくる。
「挽木」に被せた竹の鞘を「挽木鞘
ヒキギノサヤ」と云うのだが、これに形状が似るとして、この銘を持つ筒茶碗が伝来する。
利休所持三筒のひとつ、狂言袴茶碗「挽木鞘」(引木鞘、曳

木鞘)で、高麗茶碗の中でも古格をたたえる高麗王朝後期象嵌青磁である。
「口切の茶事」では席中で茶壺の口の封紙を切り、葉茶を取り出す。
水屋で決められたタイミングで茶臼を回し始めると「挽木」が音を立てるが、雁の鳴き声に喩え「雁が音
カリガネ」と云う。
また、挽かれた抹茶は決められたタイミングで「茶漉箱」でふるい始める。
これらキーキーと云う「雁が音」やカタカタとふるう音が席中にとどくのは、「口切」ならではの風情である。
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