(つゞき 「
六玉川1」)
六玉川の歌は、春・夏・秋・冬・恋・雑の歌である。
そのうち今の、すなわち夏の歌は摂津三島の玉川で、卯の花(空木
ウツギ)を詠んでいる。
白波を柵
シガラミに見立て、さらに卯の花の白さを重ねて歌っていて
(日本古典文学大系『拾遺和歌集』)、卯の花がしばしば垣根にされる
(志野茶碗「卯花墻ウノハナガキ」のように)ことへの連想もあるのだろうか。
志野流の組香に六玉川をテーマとする「玉川香」がある。
組香の詳細は省略するが、香は萩・調布・千鳥・山吹・卯花・玉川の6種で、証歌は以下の如く。
近江‐萩 あすも来む野路の玉川萩こえて いろなる波に月やどりけり
源俊頼(千載・秋)
武蔵‐調布 玉河にさらす手作
タヅクりさらゝゝに 昔の人の恋しきやなぞ
読人不知(拾遺・恋)
陸奥‐千鳥 夕されば潮風こして陸奥
ミチノクの 野田の玉川千鳥なくなり
能因法師(新古今・冬)
山城‐山吹 駒とめてなほ水かはんやまぶきの 花の露そふ井手の玉川
藤原俊成(新古今・春)
摂津‐卯花 見わたせば波のしがらみかけてけり 卯の花咲ける玉川の里
相模(後拾遺・夏)
紀伊‐玉川 忘れても汲みやしつらむ旅人の 高野の奥の玉川の水
弘法大師(風雅・雑)
(つゞく 「
六玉川3」)
画像 花:三寸菖蒲・卯の花 花入:2代秦蔵六造
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