(つゞき 「
真盛豆2」)
西方尼寺で作られる真盛豆の一方、江戸後期には菓子屋でも販売されたことが、『商人買物独案内』(1831版、京都の買物ガイドブック)の「
本家根本 真盛豆所 御池通堀川東入 井筒屋永昌」、また同本(1851版)の「東洞院魚店角 近江屋」に真盛豆の名が載ることで分かる。
「井筒屋永昌」「近江屋」がそうであるかは明らかではないが、塩味と並行して、この頃には甘い真盛豆もできている。
『蒹葭堂雑録』(1859刊、木村蒹葭堂著)に、真盛豆を菓子屋がまねて黒豆を砂糖蜜にひたし、黄な粉や青海苔を衣にかけるようになった、と記している。
金谷正廣が作った1868年以前にも、金谷正廣と同じ材料で作られたことが分かる。
『蒹葭堂雑録』よりも早い『鼎左秘録』(1852年刊、国華山人著)では、砂糖蜜と小麦粉での製法が載る。
❍真盛豆の法
黒豆 炒
白砂糖
温飩の粉
右三品、まつ白砂糖に水少し入、攪
カキマせよく煮、どろゝゝになりたる所へ炒たる黒
豆を入、よくかきまぜ、其上うどんの粉にまぶし、銅の平鍋にそろゝゝと微火
トヲビにて
いりあけ、よく乾きたるとき、又砂糖汁につけて取あげ、うどんの粉をまぶし、再び鍋
に入れ、炒りあげる。斯
カクすること凡五度にて成熟す。
炒った黒豆を、白砂糖蜜の中に入れて取り出し、小麦粉をまぶし弱火の鍋で炒り上げ乾かし、また蜜に入れ小麦粉をまぶし炒り上げる、これを5度ほど繰り返す。
塩味の真盛豆にまぶしていた菜の葉は、甘い豆には合わないためか記載がない。
画像はこの方法で作ったもので、小麦粉の衣部分がカリッとなかなか美味しく、小麦粉に何か香味(例えば抹茶・柚子・胡麻など)を加えれば、色々な味が出来そう。
左から蜜・小麦粉
1度、2度、3度、4度
文頭右は5度
参考文献 『古事類苑』吉川弘文館、『近世菓子製法書集成 2』平凡社
(つゞき 「
その4」、参照 「
砂糖豆」)
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