(つゞき 「
女郎花3」)
『南方録』に利休の言と云われる茶花の禁花があり、女郎花はその一つに数えられる。
花生に入けぬ花、狂哥に、
花入に入さる花ハちんちやうけ
(沈丁花)
太山しきミ
(みやま樒)にけいとう
(鶏頭)の花
女郎花さくろ
(柘榴)かうほね
(香骨)金銭花
(金盞花)
せんれい花をも嫌也けり
(『茶道古典全集』第四巻、淡交社)
女郎花
オミナエシは「女郎
ジョロウ」と云う名を嫌い、また根や茎が腐った醤油の意で「敗醤
ハイショウ」と云う別称を持つくらいだから、臭いので避けると云い伝えられる。
しかし、茶花は原則切り立てなので匂わないし、実際には他の禁花同様に女郎花も茶席に入れる。
『山上宗二記』では、利休は茶に相応しい花の名を挙げ、又花色は白が良く、赤を否定するなどあるが、名品の花瓶にはどのような花でも良い、規矩は初心者には必要だが、花の名人には不要と云う。
女郎花とは直接の関係はないが、興味深いので引いておく。
花之事、十月御茶ノ口切
一白梅、目柳、薄色椿、白玉椿、金盞銀䑓、寒菊、右冬用、春ハ勿論也、
夏之花
一芍藥、薄色ノ千葉、
但、赤ハ無用也、内野撫子、石竹、桔梗、夕顔、白芥子、槿
スミレ、
萩、鴈皮
右之外モ白花ヲ用ナリ、赤ハ無用也、
一一八
イチハツ、木槿トモニ
白ハ可入、春ノ菊モ可入、又、秋ノ菊ハ細口無用也、眞ノ
手桶、釣瓶、花籠ニハ可然、
一善花瓶ニハ萬草ヨロズノクサ可入、花ノ上手ハ何ノ花ニテモ心次第也、花ニ法
度ヲ云ハ初心ノタメ也、口傳、
(『茶道古典全集』第六巻、淡交社)
時折、人から「この花は茶花ですか?」と聞かれるが、この問いは可笑しい、茶花という定義はなく、その花がその茶席に相応しければ茶花と思う。
(つゞく 「
女郎花5」)
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