「
夏の茶の足袋」で『稽古の席掟』の3箇条を抜粋したが、他の条も興味深いので全文載せる。
稽古の席掟
一 礼儀厳重の事
一 着坐運付とも体の備へ、並に呼吸の考第一の事
一 雑談有之間敷事
一 点茶の節腰提もの禁事
一 袴並十徳可有着用事
一 濃茶始小習等稽古の節、客成人羽織可脱事
一 菓子盆煙草盆並に手焙、火鉢等の取扱可入念事
一 水屋拵点茶炭手前ども、叮寧に執斗跡片付も如元、錺置べき事
一 風炉の節は足袋無用事
一 婦人は四季とも足袋を履事
一 花月の主客且坐東半東、炉風炉とも足袋可履事
一 道の問事幾ヶ条にても、無遠慮可被申出事
一 出席の方々稽古并に問事とも、互に心を入可被致見聞事
一 他流の規矩被尋候儀并に、諸咄し禁之事
一 茶の湯の往来に不作、法なきやう常々主客の、心得可被磨事
一 老若とも恥辱を捨て稽、古有べき事
一 伝授の問事ハ席中の、差支なき様可有之事
一 稽古手前仕ながら問事、被致候儀相禁事
一 七事式の内数茶の外は、極の言葉の余無言事
一 先祖已来教示の詩歌、文章の意可有会得事
以上
安政三辰年仲秋 玄々斎
宗室(花押)
(緑水庵註:改行は読点で表した)
(『近代黎明期の茶の湯
裏千家十一代玄々斎宗室の時代』 茶道資料館刊 2001)
150年以上前に書かれた心得なので、現在では当てはまらない箇所もあるが充分通用する。
礼儀を重んじる、呼吸を大切に、雑談を禁ず、道具は丁寧に扱い、使った道具は元の場所にかざり置く、質問は遠慮なくすること、しかしタイミングは計る、点前をしながらはいけない、人の点前や質問にも注意を払う、稽古に老若は関係ない、稽古場だけでなく日常でも茶人としてあることなど。
なお、安政3年(1856)は、宗旦200年忌のため咄々斎や大炉の間を増築し、「法護普須磨
ホゴブスマ」なども認めた年である。
また、『近代黎明期の茶の湯』によると、『千家茶湯稽古心得箇条書』と云う巻子が残るそうで、これを簡略したのが『稽古の席掟』なのか、『稽古の席掟』の草稿なのか不明だが、これも興味深い。
(f Likeはフェイスブックに登録の方のみ反映) 両方のclick! ありがとう。 →