
(つゞき 「
珠母」)
今日は月遅れの涅槃会で、京都真如堂では「花供曽
ハナクソ」が参詣者に授与される。
はなくそ!… ちょっと驚くが、各地各寺に色々な鼻糞があり、これは軽く焼いたあられに黒砂糖をからめた菓子(田丸屋製)である。
鼻糞(花供租)と云うのは、花供
ハナク(ハナグ)または
花供御
ハナクゴの変化したものと考えられている。
『嬉遊笑覧』10上(1830)喜多村筠庭著
畿内の俗正月の餅花を涅槃会に煎て供物との蓬の餌
ダンゴを作りて備ふるをいづれ
も名付てはなくそといふは疑らくは花供の誤なるべし。
『東都歳時記』四月八日(1838)斉藤月岑著
灌仏会 (略)今日仏に供する所の餅を号していただき、又花くそといふ。年中行事
大成に、花供御の誤にやといへり
ところで、宗康先生の「
引千切」に灌仏会の蓮華に見立てた「いただき」が出てきたが、『東都歳時記』に「花くそは花供御の誤」とある以外に「いただき」と「花くそ」が同じとある。
同様の文献は他にもある。
『俚言集覧』(1797-1829)太田全斎著
いただき はなくそもち、はなくさもち、円扁なる糕
シンコを凹めて中に小豆餡をのせた
るもの、四月八日灌仏会に供す
こうして鼻糞(お釈迦さまの鼻糞)をみてくると、涅槃会(2月15日)に釈迦に供える土地もあれば、 灌仏会(4月8日)の寺もある。
また、形や名称も一定していない。
①平たく丸めた
糝粉(新粉)の中央をくぼめ、小豆餡をのせる
➝花草餅・鼻糞餅・鼻糞団子・
戴餅・いただきなど
②餡をのせない小粒の団子 ➝花草団子・鼻糞団子・涅槃餅など
③あられの類(正月の餅を細かく切って煎ったもの、豆を煎ったものなど)
参考文献 『日本国語大辞典』(小学館)
(つゞく 「
戴餅 1」「
花供御 2」)

←click! (クリックいただくと、ランクアップ) ありがとう。