
昨日、茶の湯稽古(上巳の節句の趣向)のため、引千切
ヒッチギリ(ヒチギリ)を作った。
これは草餅の上に小倉餡、さらに桃色のきんとんをのせたが、お店によって台は蓬を練り込んだこなしだったり、のせるのは餡玉だけやきんとんだけなど色々。
「引千切」とは生地を引きちぎる意からの名称、道喜の『月々御常式御用控』には明治4年(1871)3月に
右上に引きちぎった痕跡を表現
「引千切」の御用が210個あったと載るそうである
(文献名はノートに記載忘れて不明)。
『
淡交テキスト 茶菓子歳時記』(鈴木宗康著、淡交社)に、「引千切」の解説が載る。
宮中儀式の祝儀に用いられた
戴餅イタダキモチ(緑水庵註:小戴とも云う)に由来する。
戴餅は扁平な白餅で真中をくぼませた上に餡をのせたもの。
子供の生育を祝うための餅で、京都では昔、女子出産の際、これを婿方の家に贈る
風習があったという。
誕生の意味から4月8日の釈尊誕生日に、蓮の花に見立てて、「いただき」と称して
売ったとも伝える。
『御前菓子秘伝抄』 1718 (『近世菓子製法書集成 1』東洋文庫・平凡社)
こいただき たうほし糯米上白
(緑水庵註:唐法師と云うインディカ米の赤米を精米した上白米)で
餅にして、ちひさく丸くひらめ、あつきを能
ヨク煮て、塩少入、すりつふし、右之餅の上
に、少つゝいたゝかせ申候。
(「戴餅」に「こいただき」を再現)
上記の如く由来の戴餅は白餅だが、ひっちぎりが
草餅であるのは、中国伝来の上巳の節句に「竜舌※
リュウゼツヘイ(※:米偏に半)」を供する風習に拠るのだろう。
竜舌※は母子草
ホウコグサ(ハハコグサ)(御行
ゴギョウとも云う)を搗き混ぜた餅で、日本でもそれに倣っていたが後に蓬が一般的となった。
(つゞく 「
珠母」➝「
花供御1」➝「
戴餅1」)

←click! (クリックいただくと、ランクアップ) ありがとう。