
(つゞき 「
梅2 梅の異名」)
引き続き、梅の別称・異名である。
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木の花(此花)
コノハナ
「難波津に咲くやこの花冬ごもり
今は春べと咲くやこの花(
王仁『古今集』仮名序)」
「うたてやな難波津の春ならば、たゞこの花と仰せある
べきに
(謡曲『弱法師』)」
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清客(cf.十二客・三十客➝
梅1)
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清友(cf.十友➝
梅1)
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鉄樹
鉄樹は鉄楓(6-7月に開花)の別名とて、梅と云う文献を見出すことができなかった
が、禅語に多用されていて、冬・春・2月に開花とあることから梅と考えられたか?
「鉄樹開花
(『碧巌録』)」
「鉄樹花開二月春
(『禅林類聚』)」
「鉄樹花開別是春
(『禅林句集』)」
「三冬鐵樹滿林花 六月黄河連底冰
(『槐安國語』)」など
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南枝ナンシ
「大庾嶺上梅 南枝落北枝開
(白居易『白氏文集』巻三十)」
「東岸西岸之柳 遲速不同 南枝北枝之梅 開落已異
(慶滋保胤『和漢朗詠集』上・春)」
「東岸西岸の柳の、髪は長く乱るゝとも南枝北枝の梅の花、開くる法の一筋に渡らん
ための橋なれば
(謡曲『東岸居士』)」
「誰言春色従東到 露暖南枝花始開
(菅原文時『和漢朗詠集』上・春)」
「雪寒北嶺 梅香南枝
(『禅林句集』)」
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初花(初花草)
花魁同様の意。
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初名草(初無草)
ハツナグサ
「万代に咲る中にも初名くさ 春を待たでや花を見るらん
(寒梅の異称『蔵玉集』)」
「初無草
(『譬喩尽』一)」
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花の兄(花兄
カケイ)(
参照 「
花の兄弟」、
花の弟」、「
梅2」の花魁、)
「梅は花の兄 菊は花の弟
(『譬喩尽』四)」
「花の中にも始めなれば、梅花を花の兄ともいへり
(謡曲『難波』」
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春告草 (cf.鶯は春告鳥)
「み吉野の春つげ草の花の色 あらぬ梢にかかる白雲
(『藻塩草』九・梅)」
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匂草 (cf.鶯は匂鳥)
「異名 (略) 匂草 梅
(『蔵玉集』)」
ネット検索すると他にも色々あるが、出典不明なものなどは省き、良く耳にする語を挙げた。
参考文献 『日本国語大辞典』、他
(つゞく 「
梅4 梅の逸話」)

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