二十四節気「寒露」に
予告したが、本日14日は七十二候「雀入大水為蛤」である(俳句の季語「雀、蛤となる」にもなっている)。
中国起源の二十四節気・七十二候は、時代により変移があるが、一年を4つに分け四季、これを6つに分け二十四節気、これを3つに分け七十二候である。
季節の変化に従い、それぞれの時期に出現する物候(気象や動植物などの変化や動き)で、現在のものは唐代の「太衍
タイエン暦」(729)にみられ、日本でも貞亨開暦(1684)以前の「宣明
センミョウ暦」(862)はこれである。
「太衍暦」の七十二候は、『呂氏春秋』「十二記」(BC3)・『小戴礼記』「月令」(前漢)・『逸周書
イツシュウショ』(紀元前後ころ)とほぼ一致している。
「太衍暦」では、
寒露 初候「鴻鴈來賓(鴻鴈
コウガン、来賓す)」
(今年は10月9日)
次候「雀入大水爲蛤(雀、大水
タイスイに入て蛤と為る)」
末候「菊有黄花(菊に黄花
クヮウクヮ有り」
霜降 初候「豺乃祭獣(豺
サイ、乃
スナワち獣
ジウを祭る)」
(今年は10月24日)
『礼記』「第六 月令」(新釈漢文大系27 『礼記 上』竹内昭夫著、明治書院)では、
季秋之月、(中略)、 季秋の月
(九月)、
鴻鴈來賓、爵入大水爲蛤。 鴻鴈來賓し、爵
スズメ大水に入りて蛤と爲る。
鞠有黄華、豺乃祭獣戮禽。 鞠
キクに黄華有り、豺乃ち獣を祭り禽
キンを戮
リクす。
なお、立冬の末候は「野雉入大水爲蜃(野雉
ヤケイ、大水に入て蜃
シンと為る」(『礼記』では「雉入大水爲蜃」)で、「蜃」は大きな蛤をさし「オオハマグリ」、寒露次候の「蛤」は「コハマグリ」とも訓む。
亀屋伊織の干菓子「貝尽し」は、桜貝・巻貝・帆立など種々の貝の打物で、蛤には「雀」の文字が浮き彫りになっている。
ただし、こちらは3月頃、春の菓子である。
参考文献 『アジアの暦』岡田芳郎著(大修館書店)
『現代こよみ読み解き事典』(柏書房)、他
参照 「
蛤」
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