今日の茶の湯稽古(端午の趣向)のため、柏餅を作った。
『御前菓子秘伝抄』 1718
かしはもち 右之ことく
(緑水庵註・粳の上白米を一粒選りにして)、うるし米を粉にして、絹ふる
ひにかけ、中へあつき
(緑水庵註・小豆)能
ヨクにて、塩少入、すりつふし入、ちいさく
鳥子
なりに仕り、かしはの形
(緑水庵註・マヽ)につゝみ、上をむし申候。
『守貞漫稿』二十七 1837~1867頃 喜田川守貞著
粽并柏餅 京坂ニテハ、男兒生レテ初ノ端午ニハ、親族及ビ知音ノ方ニ粽ヲ配リ、二
年目ヨリハ柏餅ヲ贈ルコト、上巳ノ菱餅ト
戴ノ如シ、(中略) 江戸ニテハ初年ヨリ柏餅
ヲ贈ル、三都トモ其製ハ米ノ粉ヲネリテ圓形扁平トナシ、
二ツ折トナシ、間ニ砂糖入
赤豆饀ヲ挟ミ、柏葉大ナルハ一枚ヲ二ツ折ニシテ包之、小ナルハ二枚ヲ以テ包ミ蒸
ス、江戸ニテハ砂糖入味噌ヲモ饀ニカヘ交ル也、赤豆饀ニハ柏葉表ヲ出シ、味噌ニ
ハ裏ヲ出シテ標トス、
『御前菓子秘伝抄』は塩餡入りの「まるゝゝ」(団子の女房詞)のようだが、『守貞漫稿』では二つ折りで赤豆餡(小豆?赤豌豆?赤鉈豆?)と味噌餡と云うように現在に近い。
どちらも葉に挟んでから蒸しているが、現在はそれはしない。
今日は古方に倣い玉子形(のつもり)とし、さすがに塩餡ではなく小倉餡(蓬)と味噌餡(白)にした。
なお、現在は上方の白味噌餡がよく知られるから、
『守貞漫稿』にある江戸の味噌餡(何味噌?)が意外である。
今回、柏葉は乾燥のものを戻して、『守貞漫稿』の通りに外表と中表にした(画像の生葉は、購入した柏餅を食した後、葉を取り置いたもの)。
昨日見学した吉屋信子邸(鎌倉)に柏の大木があ
り、やわゝゝな薄緑の若葉、欲しかったなぁ。
参考文献 『近世菓子製法書集成1』『古事類苑』
(つゞく 「
柏餅2」 / 二つ折り 「
柏餅'12」 / 「
柏餅'13」)
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