(つゞき 「
麩の焼1」)
麩の焼に似たものに、江戸名物として明治初年まで麹町三丁目橘屋佐兵衛にあった「助惣
スケソウ焼」がある。
他にも「けんぴやき」
(参照「麩の焼1」)、巻餅
ケンピンとも書き、室町時代は薄く焼いて巻き小口切りに、後には色々な形になったものなど。
餡包みも作ってみた
今あるものでは、柏屋光貞の行者餅・
法螺貝餅も
麩の焼の一種であろう。
③『守貞謾稿』(1837~)
助惣焼 温飩粉を薄くやきて餡を包み、麹町にて売る、今も存すれども廃れて買ふ人
稀なり
④『御前菓子秘伝抄』(1718)
けんひん 小麦の粉一升に、白沙糖三合五勺いれ、むきくるみをきさみ五勺程、くろ
こまをいりて五勺程入、たまりと水と等分にしてしるりとこね、平
ヒラタき銅鍋にくるみ
の油をぬり、うら、おもてよりやき、少しさまし、いろゝゝに切申候。
以上をまとめると、
①麩の焼 甘味のないクレープ状生地に、山椒味噌・砂糖・胡桃・芥子の実を入れ、巻く。
② 〃 〃 に、味噌を塗り、巻く。
③助惣焼 〃 に、餡を包む。(➝
長命寺「桜餅」)
④巻餅 初期は、 〃 を巻いて小口に切る。
後期は、小麦粉に砂糖・醤油・水、胡桃・黒胡麻を入れ、焼いて切る。
(➝土佐「ケンピ」)
成立順に並べると、④初期のもの ➝ ② ➝ ① ➝ ③ ➝ ④後期のもの、だろうか?
作ってみて …
・薄く焼くもののようだが、小麦粉を薄く水溶きして厚く焼く方がモチモチして美味しい
(今回、底面が14センチ弱の鉄の小さいフライパン使用
~水っぽい生地を大きいフライパンに流すと広がってしまい厚く焼けない)
→追記('12.12.12)
テフロンのフライパン(
参照 「
フライパン」)購入により簡単に焼けるようになった
・厚く焼いた生地は、四角(上のような)に折り畳んだ時は大丈夫でも、2~3時間経つと切
れてしまう
→追記('11.4.24)
小麦粉だけでなく、砂糖やつなぎの粉を入れれば切れなかった(
参照 「
桜餅'11-2」)
・青実山椒は香りや辛みがソフトで、思いのほか多く入れても良い
参考文献 『近世菓子製法書集成 1』(東洋文庫・平凡社)、『利休大辞典』(淡交社)
(参照 「
麩の焼'15」「
麩の焼に似たもの」)
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