(つゞき
円覚寺・建長寺「宝物風入れ」’10-3)
円覚寺の舎利殿は通常非公開だが、風入れの時は拝見できる。
その折、僧侶の方がマイクを持って説明して下さるのだが、今年は垂木や組物など建築の説明が詳しかった。
学生時代、「建築史概論」の授業を受けたので、用語だけはなんとか聞いたことがあるが、詳しくは覚えていない。
改めて、左の『円覚寺舎利殿(毎日新聞社)』を読み返した。
話は変わるが、今年2月の訪れた鞆の浦にある
安国寺釈迦堂が、屋根の勾配や波欄間(弓欄間)・桟唐戸など、とてもよく似ていると思った。
両者はともに禅宗様式なのだから当然なのだが、相違点を確認する中で円覚寺舎利殿を見てみたい。
ちなみに、それぞれの建立は円覚寺が室町前期、安国寺は南北朝前期に推定とのこと。
規模は両者とも桁行三間・梁間三間だが、円覚寺が一重裳腰付きなのに対し、安国寺は裳腰の付かない一重。
また両者とも本屋は入母屋造で、円覚寺は杮葺
コケラブキ、安国寺は瓦葺で、また円覚寺に花頭窓があるが安国寺にはない。
そのため、円覚寺は裳腰部分を入れると五間五間とひとまわり大きいが、本屋の太い柱は見えず裳腰の細い柱や杮葺が瀟洒で軽やかに見せている。
なお、風入れの時でも流石に堂内には入れないのだが、上記の本を見ると内部架構の組物が素晴らしく、一度拝見したいものだ。
さて、舎利殿から見て左手に座禅堂があり、板木は寺院によって多少違いがあるようだが、建長寺と
1~3句目は同じで、4句目が「慎莫放逸
シンマクホウイツ」であった。
追加 神奈川県立歴史博物館に円覚寺舎利殿の原寸大復元模型がある(
円覚寺・建長寺「宝物風入れ」'11-3)。
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