裏千家の女傑の誉れ高い故濱本宗俊業躰は、「自分を超える弟子一人を輩出すれば、師の役目を果たす。」と云うようなことをおっしゃっていたとか。
「出藍
シュツランの誉れ」だな、と思った。
「荀子
ジュンシ」の「青は藍より出でて藍より青し」を出典とする成語で、「弟子が先生よりも優れているという、評判・名誉。(『岩波国語辞典』)」を意味する。
(原文)
君子曰、
學不可以已。
青取之於藍、而青於藍、
冰水為之、而寒於水。
(訓読文)
君子曰く、
學を以
モッて已
ヤむ可からず。
青は之
コレを藍より取りて、藍よりも青く、
冰
コホリは水之
コレを為して、水よりも寒
ツメタし、と。
(訳)
君子はこう呼び掛けている、
「学問は、中道で止めてもかまわないというようなものでは絶対にない。
青色は藍の草から取り出すのではあるが、しかも藍色よりもいっそう青く、
氷は水からできるのであるが、水よりもつめたいのだ」と。
(新釈漢文大系 「荀子 勸學篇第一」 明治書院)
弟子として師恩に報いるには師を超えることだが、それはなかなかに難しい。
また、ここで注意したいのは、弟子が我流を通すために「出藍の誉れ」を便法として講じることだ。
自流を打ち立てるというのは素晴らしいことだが、「
守破離」の過程があって、あくまで師の教えを会得した先にある。
目新しきに流れ、得手勝手することと履き違えてはいけない。

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