(つゞき 「
有元利夫展 天空の音楽1」)
有元自身の言葉に共感する美学を覚え、それを引用して書くつもりだが、未だ著作を確認していないので、庭園美術館で感じたこと幾つか。
・画家自身のことば「素晴らしい音楽を画面いっぱいに鳴り響かせる」を読むと、バロック音楽が聞こえてきた。
しかし、初め私には沈黙の音が満ちていて、率直に云うならば、そちらを大切にしたかった。
・「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」は、藝大の卒業制作10点連作、大学の買い上げとなったそうだ。
今回は、そのうち5作が展観されていて、私は初めて見るのだが、この頃すでに画風が確立されていて、後にはあまり使っていないような鮮やかで光沢のある色彩がある。
・色彩と云えば、やわらかな色彩に異質な白を感じる絵がある。
「百合」の白、タイトルを覚えていないが2階上がって正面3枚の右の絵にある縦の白い線。
・人物像がほとんどなのに、「果物」はどのようにして描かれたのだろう?
・「一人の夜」「真夜中の室内」「花降る森」など夜を場面とした絵に、林や森が描かれている事が多い。
私は夜という言葉に日本昔話の暗い森を想像することがあるが、同じ感覚だろうか。
・「出現」は、家に帰ってから読んだ「東京都庭園美術館ニュース」に、「山超来迎図」や「キリストの洗礼」に通じる、と書かれていた。
しかし、私は見た瞬間、「金の斧」で現れる、それもイソップのではなく、日本昔話の女神さまを想った。
有元はフレスコ画や仏画などに触発されたそうだが、私はもっと日本人の根幹にある土着の民族信仰を感じる。
(つゞく 「
有元利夫展 天空の音3」)
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