過日(後期)、東京国立博物館平成館に行った。
細川家の至宝
―珠玉の永青文庫コレクション―
三井記念美術館「
徳川家康の遺愛品」同様、大名家の展観なので本領は武具。
しかし、やはり私は第Ⅰ部第3章「武家の嗜み ―能・和歌・茶―」が興味の中心。
藤孝(幽斉)は、三條西實隆より古今伝授を受けている事はよく知られる。
香は和歌の教養を素地とし、實隆は香の祖とされる人物であるから、古今伝授に関するものに関心を持って観た。
忠興(三斉)は、利休七哲のひとりで、それも織部と比較して捉えることが多い。
「利休居士伝書」に「数寄と云は違てするが易のかかりなり 此故に古織は能 細川三斎は少もちがはで 結句それ程に名を得取不給と云」とある。
織部の茶が進取の気風に富むに対し、三斉は利休の茶を忠実に追随していると云われ、織部の豪、三斉の柔というイメージ。
しかし、史実は知らないが、司馬遼太郎著「胡桃に酒」で、三斉は玉(ガラシャ)を愛するばかり、狂気的な人物に描かれている。
初陣に次ぐ久秀討伐では信長より感状を受けたくらいだから、豪放快闊ではないが温和でもない、神経質でエキセントリックな人物だったのだろうか。
利休の信頼厚く、また利休が堺蟄居を命ぜられた時、淀まで織部と三斉が見送っている事(利休書状)、利休自刃後は道安が三斉を頼った話などとは矛盾する三斉像がある。
茶道具は、細川家蔵の著名なものは出展されているが、ほとんど観たことがあり、特筆すべきところはない。
第Ⅱ部「美へのまなざし」の副題は「護立コレクションを中心に」である。
護立の蒐集は著名で、古今東西を問わないが、印象深かったことを二、三。
「細川ミラー」と呼ばれる「金銀錯狩猟文鏡」を初めて観たが、素晴らしい。
刀剣類、古代中国から唐・宋代のもの、シルクロードを髣髴させるもの、に共通の美意識を感じたが、白隠・仙崖は意外に思った。
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