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2014年 12月 03日
(つゞき 「『源氏物語』梅枝2」)
(原文) 二月の十日、雨すこし降りて、御前近き紅梅盛りに、色も香も似るものなきほどに、兵部卿の宮渡り給へり。(略)。 沈ぢむの箱に、瑠璃の坏つき二つ据ゑて、大きにまろがしつゝ入れ給へり。 心葉こころば、紺瑠璃には五えうの枝、白きには梅を えりて、おなじく引むすびたる糸のさまも、なよびや 『類聚雑要抄』天明7年・三井高蔭奥書 かになまめかしうぞ給へる。「艶あるもののさまか 東京国立博物館蔵、画像提供:東京国立博物館 な」とて、御目とめ給へるに、 花の香は散りにし枝にとまらねど うつらむ袖にあさくしまめや (略) (新日本古典文学大系『源氏物語』岩波書店) (梗概) 二月十日、少し雨が降り、御前の紅梅の色も香も見事な頃、蛍兵部卿宮が来訪。 (朝顔姫君から届いた)沈箱に、瑠璃の杯を二つ据え、薫物をそれぞれ大きく球状に丸めて入れてある。心葉は、紺瑠璃には五葉の松、白いのには梅を彫り、引結んだ糸の様子もしなやかに優美で上品である。 (緑水庵註) 沈の箱 : ①沈水香木材の箱(「大系」「全集」とも) ②沈水香木を入れるための入隅の箱(画像) 『源氏物語』には、「沈の折敷(宿木)」「沈の花足(若菜上・鈴虫)」「沈の文箱(若菜上)」 などもあり、沈香で作った箱とするのが通例のよう。 しかし、これらを沈香で作れるとは思えないので、ここに云う「沈」とは現在の概念とは異 なるのか。 瑠璃 : ①ガラス製(「大系」) ②七宝のひとつである青い玉(「全集」)、ラピスラズリ 私には判断できないが、青ガラスと白ガラスでも、ラピスラズリと水晶(瑠璃でなく玻璃だ が)でも素敵。 『源氏物語』には、他に「瑠璃の御さかづき、瓶子は紺瑠璃なり(宿木)」「紺瑠璃の壺ど もに、御薬ども入れて、藤、桜などに付けて(若紫上)」などがある。 坏 : 皿状の器で、『宇津保物語』には「秘色(緑水庵註:越州窯青磁)の坏」「金の坏」など出る。 須恵器「坏」のように合子なのかも知れない。 「香壺」(参照 「梅枝2」)とする見解もある(「全集」)。 瑠璃の坏 : 参考に、正倉院宝物のガラス製「瑠璃坏」「瑠璃壺」「白瑠璃碗」「白瑠璃高坏」 「緑瑠璃十二曲長坏」、石製「玉長坏」「瑪瑙坏」も御覧いただきたい。 心葉 : ①贈り物に付ける組紐製や彫金の造花の飾り(「大系」) ②贈り物に添える組紐製や金属で作った梅や松などの枝の形の飾り(「全集」) ③調度品の箱(香箱・櫛箱・薬箱・造紙箱)や壺(香壺・薬壺)などを覆う飾りの付いた絹 布。 『類聚雑要抄』では、香壺の心葉は二倍ふたえ織物二寸五分四方で、金銅製梅形や松葉 に上巻(総角・揚巻、絹糸製)が付く(参照 「梅枝2」)。 紺瑠璃には五えうの枝 : 紺瑠璃には「黒方」、心葉は五葉の松を彫えり、糸を結ぶ。 『弄花抄』(『源氏物語』注釈書、三条西実隆著、1504成立)は、松は寒中の霜雪に侵さ れぬことを「黒方」の匂いにたとえた、という(「大系」)。 ただし、『薫集類抄の研究』の田中圭子氏によると、黒方は冬のものという概念は『源氏 物語』当時は知られておらず、平安後期までに確立したとのこと。 白きには梅 : 白瑠璃には「梅花」、心葉は白梅を彫り、糸を結ぶ。 引むすびたる糸 : 『類聚雑要抄』では、梅の上巻は手長一寸、松葉は二寸。 江戸時代の御用絵師、土佐光吉筆(京博)・土佐光則(光則息)筆(徳川美術館)・住吉如慶(光吉門弟)筆(サントリー美術館)「源氏物語画帖 梅枝」では、青と白の香壺に松と梅の枝の飾りが立つ。 ただし、光則と如慶は光吉に倣ったのだろう。 私は、青と白の玉製の合子に、松と梅の金属の薄い板に総角の飾りを付けた絹布で覆った絵を思い描いている。 参考文献 「梅枝2」と同じ。 『光源氏が愛した王朝ブランド品』河添房江著、角川書店 (つゞく 「『源氏物語』梅枝4」) (f Likeはフェイスブックに登録の方のみ反映) 両方のclick! ありがとう。 →
by ryokusuian
| 2014-12-03 20:21
| 香り全般(香道)
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